BACKSPACE Productions Inc.


Making of 'Folding Screen of Painted Sekigahara Landscapes'

Making of 'Folding Screen of Painted Sekigahara Landscapes'

Editor: Sheep / Scott Allen | Feb 02, 2021

2021年2月から中部国際空港で展示されているインスタレーション作品「関ケ原山水図屏風」にて、映像内の人物モデリング及びアニメーションを担当しました。プリミティブアニメーション作家の重田佑介氏によるディレクションのもと、大阪歴史博物館所蔵の関ケ原合戦図屏風をアニメーションとして再現し、500体近くの人物や風景の動く様子が表現されています。

詳細な作品概要はこちら:
関ケ原山水図屏風 - CULTURE GATE to JAPAN @ Chubu Centrair International Airport

backspacetokyoチームでは、オリジナルの作品や資料をもとにデザインされた様々なパターンの人物を3Dモデルで制作しました。アニメーションは群衆シミュレーションをベースとし制御モデルをHoudini上で構築し、500人近い侍や農民のキャラクターに様々な演技をさせています。

こちらの記事では、本作で担当した人物のモデリングとアニメーションのメイキングを紹介します。

人物のモデリング

人物のモデリングでは、資料を基に侍・鎧武者・農民など5パターン程のモデルを用意し、配色パターンをアトリビュートとして定義することで、群衆シミュレーションの際に服の色をランダマイズできるようなマテリアルを構成しました。

戦闘するキャラクターにはディザ処理のように消失するようなエフェクトが必要だったため、これらもマテリアルベースでコントロールできるようにしています。

エージェントの作成・群衆シミュレーション

モデリングした人物には、エージェントとして特定のコースを移動しながら個別に割り当てられたアニメーションを演技させます。持ち物や装備にも少しずつ違いがあるので、HoudiniのAgent layer機能を使いバリエーションを与えました。

また今回、アニメーションの多くはAdobeのMixamoというWebサービスを用いています。非常に多くのモーション素材が用意されているのですが、微妙に欲しい動きと違ったり、仕草や姿勢が西洋の人物が多かったため、Houdini 18.5より追加されたKineFXを使い調整を行いました。RigPose SOPで従来のアニメーションにオフセットをかけて刀を持つ手を動かしたり、東洋人らしい前かがみの姿勢にさせたりといった調整を施しています。

エージェントがある程度出来た段階で、映像の背景をもとにキャラクターが進行するコースを定めていきます。出現・消失する領域のほかに、走り出す・戦うモーションに切り替わる領域など様々なトリガーを設定していきました。

ルールを定めることができたら、あとはそれに従って各エージェントに演技をしてもらいます。ここではモデリングからシミュレーションまで順に追って書いていきましたが、実際は各セクションを並行して進めながら完成に近づけています。キャラクターをアセットとして構成し、動作もノードベースで構築したルールに基づいているているので、更新したモデルを流し入れる事で手作業のやり直し量を抑えながら制作していくことができました。

本作品は、2021年9月末まで中部国際空港 第1ターミナル到着ロビーにて展示されています。お立ち寄りの際は是非ご高覧いただけますと幸いです。